
機械システムコース
教員
「固体は神が創りたもうたが、表面は悪魔が創った」 悪魔を黙らす魔法の技術 -表面改質-
小川 和洋
2024.09.05
自動車や建築、農業など、これまではあまりエレクトロニクスが使われてこなかった分野でも、情報化、エレクトロニクス化が進んでいます。基本的に、センサを使って情報を集めて、それをインターネットに送り、クラウドと呼ばれる情報空間でビッグデータ化し、私たちの暮らしに役立つようになります。今後、IoT(モノのインターネット)化が進んだ社会では、小さく高機能な機械が身の回りにたくさん現れてくることでしょう。人の健康状態を知るセンサも、工場などの環境を監視するセンサも、小さければ少ない電力で高速に動かすことができます。小さいことのメリットはたくさんありますが、よいアイデアが思いついても、実現するノウハウが無ければ形にすることはできません。これまでに積み上げて世界をリードしてきた機械の微細加工技術がある、ここ東北大学での恵まれた設備環境を存分に活かし、私たちは未来社会を切り拓くマイクロ・ナノシステムを創成しています。
例えば、現在のナノテクノロジーやマイクロシステム技術を基盤として、ITや医療、エネルギー、環境、ナノサイエンスのための微小機械を開発し、極限の感度を目指した「極限センサ」を開発しています。私たちが作るセンサにより、今まで見えなかったモノが見えてくるようになります。昔は「細胞一個の発する熱」は微少過ぎて測ることができませんでした。しかし、私たちの開発した細胞サイズの超小型温度センサにより、はじめて細胞一個単位の発する熱を測ることができるようになったのです。また、センサを動かすには電気が必要ですが、そのための発電技術も開発しています。ウェアラブルな発電器や身近なエネルギーシステム、さらには量子を操る素子なども開発しています。
ナノスケールでデザインし、精密加工された微小機械は、今後様々な分野で応用することができ、それによって私たちの健康や生活に寄与する新たな技術が生み出されようとしています。
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ミライをつくる、
わたしの視点
ViEWi(ビューウィー)は、東北大学工学部機械知能・航空工学科の「人」にフォーカスした情報を発信するウェブマガジンサイトです。研究者の視点や物事の考え方、研究内容を発信したり、卒業生や在学生の現在の取り組みや今後の展望などを発信していきます。