
ファインメカニクスコース
教員
特別座談会 ファインメカニクス専攻&コース教員、ナノテラスを語る―Vol.2
ファインメカニクス専攻&コース教員
2025.04.07
見出しの「材料システム」という言葉ですが、素材としての材料を組み合わせて機能を有するようにしたものの総称で、電化製品がその一つです。例えばスマートフォンは通話や検索といった機能を有する材料システムですし、内部に使われている各種センサや電子部品も機能を有していますので、それぞれが材料システムです。自動車や発電プラントも材料システムですので、世の中には実に様々な材料システムが存在しています。ところで優れた物理的諸特性(機械的、電気的、熱的、光学的、等)と幾何学的特徴(細い、薄い、等)を有する金属・半導体・高分子微細材料(直径や厚さがnm~μmの材料)が新しい材料システムの素材として活用できると期待されており、私たちはそのために微細材料の諸特性を正確に把握し、これらを有効活用するための様々な周辺技術を開発しています。
例えば極微小な力を計測する荷重検出器を開発して、金属細線の力学特性を評価しています。またこの実験技術を活用して、毛髪のしなやかさを評価したり、まつ毛が曲がる原因について調査しています。新しい材料システムの創出のためには、素材としての微細材料同士を接合することが欠かせません。金属細線同士の接触部に直流電流を付与して生じるジュール熱により細線同士を接合する手法を提案しています。また材料システムを健全に維持するためには色々な検査手法を開発する必要があります。特に新しい材料システムでは薄膜を積層した構造体が随所に使用されています。音波が薄膜を通過する際に生じる音響共鳴を利用して、様々な薄膜の物性値や厚さを計測し、また内部の欠陥を可視化する手法を開発しています。
限られた資源を有効に活用して、如何に付加価値の高い材料システムを創出するかが重要な課題となってきています。材料の新しい特性を発見し、これを利活用する周辺技術を拡充することで、これまでにない新しい材料システムを創出すべく、日々挑戦しています。
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ミライをつくる、
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ViEWi(ビューウィー)は、東北大学工学部機械知能・航空工学科の「人」にフォーカスした情報を発信するウェブマガジンサイトです。研究者の視点や物事の考え方、研究内容を発信したり、卒業生や在学生の現在の取り組みや今後の展望などを発信していきます。