
ファインメカニクスコース
教員
特別座談会 ファインメカニクス専攻&コース教員、ナノテラスを語る―Vol.2
ファインメカニクス専攻&コース教員
2025.04.07
人類の果てしない欲求を満たすために、様々な科学技術開発が進展し、大量生産と大量消費、大量廃棄による快適な人工環境の創生と自然破壊が同時並行で進行してきました。自然界のバランスが大きく崩れつつある中で、私たち工学分野で研究開発を推進する者は、人類社会の維持発展に資する新たな知識や技術の開発を、自然界とのバランスを意識しながら進めることが強く求められています。
「必要なものを必要な量だけタイムリーに」生み出す技術、「地産地消」により自然に無駄な余剰物を廃棄しない技術、そのような視点から、新たなエネルギーの創生を目指しています。基本材料は、高価なレアメタル等は一切使用しない、炭素の六員環を基本構造としたカーボンナノマテリアルを使用しています。炭素一原子の厚さで六員環が二次元空間で周期的に結合したグラフェンと呼ばれる材料を、ナノスケールのリボン状に加工すると、寸法に依存して半導体的な性質が発現し、その構造に歪みを作用させると電子物性をさらに可変制御できます。この歪み誘起の電子物性制御という機械工学と材料工学、電子工学分野の学際研究を基盤として、従来にない小型軽量で高効率な発電デバイスを大変形可能なプラスチックフィルム上に形成する技術開発を進めています。これにより将来Tシャツやバックパック表面に発電デバイスをプリントし、「どこでも発電」を実現したいと考えています。
さらに、このナノスケールに加工したグラフェンという材料は様々な分子を吸着する性質も有しており、吸着によって電気抵抗が変化するという特異な現象も発現します。この現象を利用すると、微量な汗や血液、あるいは唾液の中に含まれる有害物質やウイルス、細菌等の即時分析も可能になる可能性が秘められています。「いつでも健康診断」の夢も膨らんでいます。この研究は機械工学と化学工学等の幅広い分野を横断する学際研究になると信じて日々研究開発に精進、挑戦しています。
大学院 工学研究科 ファインメカニクス専攻 教授
東北大学グリーン未来創造機構
グリーンクロステック研究センター
(兼)大学院 工学研究科 ファインメカニクス専攻 教授
Labratory Website:http://www.miura.rift.mech.tohoku.ac.jp/home.htm
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ミライをつくる、
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