エネルギー環境コース
教員
資源ロスやエネルギーロス無く、機能性材料を開発・応用する技術開発
高橋 英志
2024.01.12
「東北大学 機械知能・航空工学科ってどんなことが学べる?」「研究室はどんな雰囲気?」
そんな疑問にお応えすべく、先生や学生さん、さらに卒業生の〝声〟を通じて研究内容や人々の魅力をお伝えするウェブマガジンViEWi。今回はエネルギー環境コースから、環境修復生物機能の解明や環境技術の開発に取り組む簡梅芳(カン・バイホウ) 准教授、通称メイ先生にご登場いただきます。
——まずはご専門の研究分野と目下取り組んでいる研究について教えて下さい。
研究室の分野名「環境修復生態学」の通り、植物や微生物による環境修復機能の解明と、それを活用する環境技術の開発に関する研究を行っています。具体的には、有毒元素のヒ素やカドミウムを高濃度で体内に蓄積する植物の吸収メカニズムの解明から、それら植物を用いた植物修復(phytoremediation)の実証研究、さらに土壌微生物との相互作用まで検討し、より効果的なphytoremediationを実現する研究をしています。排水からのニッケルやセレンなど有用金属の回収・除去に資する微生物の探索と作製も研究しており、生物機能をデザインして作ったりします。最近は、海洋マイクロプラスチックによる汚染物質や付着微生物の越境移動や、微生物による二酸化炭素固定の促進、生分解可能な材料の環境における微生物分解プロセスの解明なども研究し始めています。研究手法は遺伝子発現、代謝産物分析、化学分析、規模は分子レベルから細胞レベル、実環境レベルまで、様々ですが、「環境」と「バイオ」に関連する、学生も興味を持つテーマを一緒に見つけて進めています。いわば環境バイオテクノロジーのアトリエですね。

——環境バイオテクノロジーのアトリエ、その魅力はどのようなところにあるでしょうか? また社会ではどのように役立てられますか?
私は植物学科出身で、博士まで生命科学の基礎研究をしていましたが、学位取得後の所属はずっと環境工学分野にありました。研究を通じて、環境に対する多様な生物応答機能に魅了され、またこれらの機能を活用して技術化できることに感動しています。

重金属汚染や廃水処理といった環境問題に対して、従来の物理化学的手法だけでなく、植物や微生物の力を借りることで、環境負荷が低く、生態系と調和できる持続可能な解決策を提供できます。特に途上国や資源の限られた地域では、こうした生物を活用した技術が大きな役割を果たせると考えています。
日本では、工学部に入る学生はあまり生物を勉強してきませんが、ぜひその面白さとポテンシャルを感じてほしい。環境生物工学は、効率の面では従来技術に劣ることもありますが、その環境調和性こそが、持続可能な社会を実現する上での真の価値だと思います。

——最後に、研究室への配属を希望される学生さんには、どのようなことを求めていらっしゃいますか? また、研究室はどのような雰囲気でしょう?
環境科学という国境を越えたグローバルな課題を扱うため、研究室は留学生も多く、国際色豊かです。異なる国や文化的背景を持つメンバーの、一人ひとりのオリジナリティを尊重することを大切にしています。同時に互いの考えや立場を理解しようとする「共感力」も重視しています。研究室で開催する食事会は、いつも異国料理が食べられますよ!
研究活動において、私が学生に一番大事にしてほしいのは「知る感動」です。何かを知りたいと思い、そのために努力し、それがわかった時の気持ちはとっても嬉しいものです。思うような結果が出ないこともありますが、苦悩を経て何かを発見できた時の喜びは格別ですし、夢中になって没頭する、そのエネルギーや経験は、今後何をやっても役に立つはず。その気持ちを大切にできる学生と一緒に研究したいと思っています。

簡 梅芳 カン バイホウ (Mei-Fang CHIEN)
機械知能・航空工学科 エネルギー環境コース/大学院環境科学研究科 先進社会環境学専攻 准教授
1998年6月 台湾台北市第一女子高等学校卒業
2002年6月 台湾国立中興大学生命科学部植物学科卒業
2004年6月 台湾国立中興大学大学院生命科学研究科修士課程修了
2008年3月 東北大学大学院生命科学研究科博士課程後期課程修了 博士(生命科学)
2008年9月~2010年3月 愛媛大学沿岸環境科学研究センター博士研究員
2010年4月~2014年3月 東北学院大学工学部博士研究員
2014年4月~2023年3月 東北大学大学院環境科学研究科助教
2023年4月~現在 東北大学大学院環境科学研究科准教授
Laboratory Website:簡(メイ)研究室
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わたしの視点
ViEWi(ビューウィー)は、東北大学工学部機械知能・航空工学科の「人」にフォーカスした情報を発信するウェブマガジンサイトです。研究者の視点や物事の考え方、研究内容を発信したり、卒業生や在学生の現在の取り組みや今後の展望などを発信していきます。