機械・医工学コースから医工学研究科へ——学部で得た力学の知識が研究に役立っています

機械・医工学コース / 在学生

大津 隆志


2024.11.14

機械・医工学コースから医工学研究科へ——学部で得た力学の知識が研究に役立っています

東北大学機械知能・航空工学科から最新の研究、学生生活や進路についてお届けするウェブマガジン〝ViEWi〟。今回は、機械・医工学コース 石川/菊地/大森研究室で学んだのち医工学研究科へ進み、同研究室で研究を続ける大津隆志さんへお話を伺いました。

——学部では工学部 機械知能・航空工学科へ所属されていましたが、大学院進学の際、同じ研究室に所属しつつ、医工学研究科へ進まれています。現在、どのような研究に取り組んでおいでですか? また学科で学んだことがどのように生かされているでしょうか?

現在は研究が面白く、多くの時間をかけて取り組んでいます。研究では、力学(特に流体力学)を使って生物の不思議を解明しようとしています。具体的には、泥の中にいる微生物が体の表面に生えた毛で何ニュートンの力で水を搔いたら何マイクロメートル進むのかというようなことを、数値シミュレーションにより調べています。生物には多くの未解明な点があり、力学を使わなければ解明できない謎も多くあります。私は機械知能・航空工学科という、一見生き物には関係なさそうな学科を卒業しました。しかし、そこで学んだ力学を用いて生物の謎に挑戦できることを学部時代に知り、驚きました。現在、そのような研究に取り組めることに大きな喜びとワクワク感を感じています。また、AIにより研究を加速することにも興味があります。まだまだ勉強を始めたばかりですが、AIを活用することによってもっと速く面白い結果を生み出せるようにもなりたいです。

球体周りの流れに関するシミュレーション

——所属する石川/菊地/大森研究室はどのような研究室でしょう?

所属している研究室では、先生や先輩方から手厚いサポートを受けています。わからないことがあれば、いつでも気軽に相談できる環境が整っており、とても心強いです。先生や先輩と研究の戦略や方法、結果について議論する時間はとてもワクワクし、私にとって大好きな時間です。また、ゼミやミーティングなどを通じて他の学生の研究に触れる機会が多くあります。多くの面白い研究が行われており、他の学生の研究発表を聞くことも楽しみの一つです。研究室の雰囲気は自由でリラックスしています。石川研が位置するナノ医工学研究棟には広い講堂や中庭があり、そこにみんなで集まってお昼ご飯を食べたりおしゃべりしたりしています。研究以外にも、歓送迎会や先生の誕生日パーティー、体育館でのスポーツなど、いろいろな行事を学生が企画して行っています。また、最近は同期や先輩と山登りに行くようになりました。早朝に集まって山に登り、心身ともにリフレッシュできるこの活動が好きで、登山が新たな趣味になりそうです。

登山の様子。「綺麗な池が見えたときは心が躍った」という

——医工学研究科で学ぶ中で、特に好きな授業、おもしろいと感じる授業を教えていただけますか?

私が好きな大学院の授業は「細胞遺伝子工学実習」です。この授業では、大腸菌のDNAにオワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質(GFP)の遺伝子を組み込み、遺伝子組み換え大腸菌を作成するという貴重な経験をしました。実習の終盤では、自分で組み込んだ蛍光タンパク質の遺伝子を含むDNAを哺乳動物細胞に導入し、蛍光タンパク質が発現した細胞を蛍光顕微鏡で観察しました。それまでの操作が正しく行われていないと蛍光タンパク質は発現しないため、細胞が光る様子を見たときの達成感は格別でした。この実習を通して遺伝子工学の基礎や細胞の扱い方を学び、その成功に伴う達成感を味わうことができました。また、この実習やその他の生物学系の授業を通して、生命とはよくできたシステムだと実感し、生命科学への興味が一層強くなりました。

蛍光顕微鏡観察の結果。緑色に光る細胞質

——キャンパスでの過ごし方や息抜きのひとときなど、現在の学生生活について教えて下さい。

平日は午前中に星陵キャンパスで医学や生物学系の授業を受け、昼食後は青葉山キャンパスの研究室に移動して研究に集中しています。授業がない日は研究室で昼食を取りながら、他の学生と話す時間を楽しんでいます。また、週に1回の研究進捗ミーティングや、週に2回の論文紹介や学会・学位審査会の発表練習をするゼミがあります。体を動かすことが好きなので、夜はよくランニングをしてリフレッシュしています。学部時代はソフトテニス部に所属していましたが、休日には今もその仲間とソフトテニスを楽しんでいます。テニスの後にラーメン屋に行くのが定番で、毎週末、このテニスをしてラーメンを食べる時間が最高に幸せです。

——機械知能・航空工学科から医工学研究科に進まれました。この先の進路はどのように思い描いていますか?

博士後期課程まで進み、あと5年間は研究をしたいと考えています。理由は、研究が面白いからです。これから、どのような面白い結果に出会えるかとても楽しみです。博士課程修了後の具体的な進路はまだ決めていませんが、新しいものを生み出す活動を続けたいと思っています。とりあえずこの5年間、思いっきり研究をし、沢山の挑戦をし、学びたいことを学びたいだけ学ぼうと思います。5年後、どのような景色が見えるのかとても楽しみです。

プロフィール

大津 隆志

医工学研究科 修士1年

2020年4月~2024年3月 東北大学 機械知能・航空工学科 機械・医工学コース
2024年4月~            東北大学 医工学研究科
趣味:ソフトテニス