先端複合材料による低炭素社会と安心・安全な社会基盤の構築を目指して——

航空宇宙コース / 教員

山本 剛


2025.11.04

先端複合材料による低炭素社会と安心・安全な社会基盤の構築を目指して——

東北大学機械知能・航空工学科から最新の研究や研究室の様子をお伝えするウェブマガジン〝ViEWi〟。今回は、航空機・自動車・風力発電などの幅広い分野で活用される先端複合材料を研究中の山本剛准教授にご登場いただきます。

——まずはご専門の研究分野と目下取り組んでいる研究について教えて下さい。

本研究室は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)やカーボンナノチューブ紡績糸強化プラスチックに代表される先端複合材料を主な研究対象として、力学特性の発現機構をナノ・マイクロ・マクロの「各スケールにおける構造と物性の関係」と「スケール間の物性の結びつき」の観点から解明する研究を行っています。

CFRPを機体・車体部材に使用することで飛躍的な軽量化に成功した航空機や自動車の登場は、二酸化炭素の排出削減に大きく貢献しています。一方で、CFRPに代表される繊維強化複合材料は力学特性の異なる材料から構成される不均質材料であることから、その力学的取扱いは極めて複雑です。したがって、低炭素社会の構築ならびに安心・安全な社会構築に貢献する信頼性の高い複合材料を開発するためには、その損傷機構や変形挙動の解明に加えて、予測手法の確立を行い設計・保守に役立てる必要があります。

そこで、固体力学(材料力学、弾塑性力学、複合材料学)を基盤とする実験研究に重きを置きつつ、そのうえで先端測定法・先端観察法や計算科学・データ科学などの研究アプローチを融合させることで実験研究のみでは解決を図ることが困難な多元的な研究課題に対して人類が有する知のフロンティアを押し広げることを目指しています。

顕微鏡により可視化された炭素繊維強化プラスチックのデータを考察

——なぜそのような研究に取り組んでいるのでしょう?

我々がこの研究に取り組む理由は、複合材料が軽量で高強度という優れた特性を持ちながらも、その内部構造が極めて複雑で、損傷プロセスや力学特性の予測が難しいという課題に強く関心を抱いたためです。特に、航空機や自動車といった輸送機器のさらなる軽量化は、二酸化炭素排出量の削減やエネルギー効率の向上に直結し、持続可能な社会の実現に大きく寄与すると考えています。この研究が成功すれば、より安全で信頼性の高い構造部材の設計が可能となり、航空機・自動車・風力発電などの幅広い分野で材料の長寿命化・高効率化が期待されます。これにより、低炭素社会の実現と、安心・安全な社会基盤の構築に貢献したいと考えています。

実験のみならず、先端測定法や先端観察法、計算科学・データ科学を融合した研究アプローチ

——所属する学生さんにはどのようなことを求めておいでですか? また、研究室はどのような雰囲気でしょうか?

本研究室では、先端複合材料を対象に、その構造と力学特性の関係を明らかにする研究を行っています。そのため研究室に在籍する学生には、現象を自らの手で確かめ、得られた結果を根気強く考察する姿勢を求めています。困難に直面しても試行錯誤を重ね、最後までやり遂げる粘り強さを重視しています。

研究室には他大学出身の大学院生や留学生も多く、国際的で開かれた雰囲気の中で研究を進められます。英語でのコミュニケーションや国際学会での発表機会もあり、世界に向けて成果を発信する経験が得られます。学生同士や教員との距離が近く、研究に関する議論や助言を受けやすい雰囲気があることも特徴です。多様なバックグラウンドを持つ仲間と切磋琢磨しながら、複合材料研究の最前線に挑戦できる環境です。

この日は全員集合とはならなかったものの、留学生を含む10名の学生が所属し、研究に勤しむ

プロフィール

山本 剛

航空宇宙工学専攻・准教授

東北大学大学院環境科学研究科、博士後期課程修了。本学先端材料強度科学研究センター(旧:エネルギー安全科学国際研究センター)・助教を経て、工学研究科航空宇宙工学専攻・准教授。

Research map: 山本 剛(Go Yamamoto)
Google Scholar: Go Yamamoto | Department of Aerospace Engineering, Tohoku University

Laboratory Website: 山本研究室 YAMAMOTO Lab.